Mさんの話1

訪問治療で3年くらい行っている患者さんの話。

お世話になっているケアマネさんからの紹介で始まったのだが、このケアマネさんの紹介は支援困難事例が多い。

そもそも我々に回ってくる仕事は、大抵介護保険の中では利用者利益にならないケースが多いのだが、この人、Mさんもそうだった。

年齢70代後半、男性、二十数年前に脳梗塞を発症、右片麻痺。(利き腕、効き足)麻痺の程度は中程度、手は物を押さえつけるなどの単純動作はできる。足は拘縮がありつつも足関節は概ね90度底屈可能なため室内はつかまり歩きが出来る。患側に痛みは無い。主訴は左肩甲帯から左上肢全体の疼痛だった。痛みで夜も眠れないとの、激しい訴えだった。

痛み止め、湿布などは効かず、訪問リハビリも受けていたが患側の訴えは無いため患側中心にリハを行う担当者さんに不満を抱き、怒り、怒鳴る。

ヘルパーさん、ケアマネにも痛みの訴えで怒り出し、サービス拒否も頻発して困った困った状態だった。

そこに呼ばれて入ったわけだが、廃用手をかばってオーバーユーズからくる上肢痛、長年の蓄積が簡単に治まるわけも無く。

なだめ、すかしての治療になった。

こういう場合、大事なのは施術自体よりもまず傾聴。

痛みというのはとても個人的なこと。その人の痛みは絶対に他人には理解できない。もちろん、僕にもできない。

いつも患者さんに行っていることは、

「僕はあなたの痛み、苦しみを完全にはわかってあげられない。けど、同じように苦しんでいる人をたくさん診てきたからかなり正確に想像はできる。つらいですね。」

ということ。Mさんにもこの姿勢で臨んだ。

しばらくマッサージを続けると、ある程度心を開き、雑談ができるようになった。同じタイミングで痛みが少し減ってきた。

よくあることだが、ストレス、怒りが痛みを増幅し、固定化していた。思い込みが強く、頑固な性格の人が陥りやすい状態だ。

 

長くなりそうなので、続きはMさんの話2へ。

 

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